6年かじった僕がボート競技の魅力を書きます
元ボート部員のさくのすけです。
大学四年間、全国入賞を目指し、
合宿所で寝食し、週6日10回の練習をこなしていました。
一時期前に、「海の森」やら、「長沼」やら、
会場移転問題で話題になっていたボート競技。
4年間どっぷりつかった僕が、その魅力を語ります。
ボート競技とは
(http://www.worldrowing.com/news/olympic-rowing-rocks-off-with-world-best-time)
オールという棒を使って、人力で艇を進めます。
このように自分の体に対して後ろ向きに進みます。
だいたいママチャリで爆走くらいのスピードが出ます。
レーンが貼られた直線コースでタイムを競います。
国際大会・国内主要大会は2000mで戦います。
風、波、流れのない大河川や湖で行うスポーツです。
英語では「Boat」ではなく「Rowing」といい、
欧米諸国では日本の相撲のような国民的スポーツとして親しまれています。
1人につきオール1本のスイープ種目、
2本のスカル種目があり、
それぞれ、1人・2人・4人・8人の種目があります。
(スイープの1人種目、スカルの8人種目はありません)
(以上画像の引用元 http://www.worldrowing.com/news/olympic-rowing-rocks-off-with-world-best-time)
レースの見方・魅力
このスポーツ、何と言ってもキツい。
マラソンのような心肺のつらさと、筋トレ中のような筋肉のつらさ。
自らの身体・精神を極限まで追い込んだ状態で、
全員の息を合わせたものが勝つ、という人間の限界に挑戦する美しさがあります。
特にこの「合わせること」が非常に重要で、
オールの入水、離水のタイミングはもちろん、
力のかけ方、タイミングを合わせるため、関節レベルで動作を統一します。
目が肥えると、その出来や、お国柄の見分けもつくようになります。
レース展開と駆け引き
2000mで全ての力を出し切るため、各々が様々な体力配分で駆け引きをします。
今回はロンドンオリンピックの
軽量級舵手なしフォア(4人乗りで1人1本種目)決勝を例に解説します。
(ボートには72.5kgまでの軽量級・それ以上のオープンがあります)
予選・敗者復活・準決勝を経て、決勝は6艇でのレースです。
Rowing Men's Lightweight Four & Double Sculls Finals - London 2012 Olympics
当該レースは10分30秒~です。
注目は手前3つの3ヵ国
4レーン:デンマーク(黄色艇、赤白ユニ)
5レーン:南アフリカ(白の艇・黄色ユニ)
6レーン:オーストラリア(黄色艇。黄色ユニ)
0~500m
どの艇も回転数を上げて、100メートル走のようにスプリントし、頭をとろうとします。
優勝候補筆頭の4レーン・デンマークが頭一つ出ます。
500~1500m
回転数を落ちつかせ、相手をけん制しながら位置取りをします。
依然としてトップは4:デンマーク。
しかし、このあたりを得意とする6:オーストラリアがじわじわとついていき、
その後ろに5:南アフリカと3:イギリスがつけています。
1500~2000m
最後のラストスパート、各国一気に回転数を上げます。
ここまでで使い切った5:オーストラリアは失速、
4:デンマークも思うようにスパートスプリントが決まりません。
そこに良い位置につけていた5:南アフリカがじわじわと迫り、
大観衆の中、ひと漕ぎごとに順位が入れ替わります。
ラスト100mほどで南アフリカがデンマークを差し切り、金メダル。
じわじわと詰めていたイギリスが銀に食い込み、
最後失速したデンマークが銅メダル、オーストラリアは4位でした。
つまるところ魅力は
- 心身の極限状態の中で競い合う美しさ
- 己の体力を活かす駆け引き
- 息をのむラストスパート
こんなところでしょうか。
今日の備忘録
日本ではスーパーマイナースポーツのボートですが、見てもやってもとても奥深いスポーツです。
2020年東京では否が応でもトップ選手がやってきます。
皆さんの「気になる競技リスト」に入れてもらえると幸いです。
海の森を「レガシー」にするのは、あなたになるかもしれません。